古典名作『西遊記』において、太上老君は天界の重鎮であり、数々の超常的なアイテム(宝貝)を生み出す天才的な錬丹術師として描かれます。大暴れする孫悟空を捕縛した際、彼を焼き溶かすために放り込んだのが老君の所有する「八卦炉(はっかろ)」です。孫悟空は炉の中で49日耐え抜いた結果、あらゆる妖怪の正体を見破る「火眼金睛(かがんきんせい)」と鋼鉄の肉体を手に入れることになり、図らずも悟空を覚醒させる契機を作りました。
また、孫悟空一行を苦しめた有名な妖怪「金角大王・銀角大王」は、実は太上老君の八卦炉で火の番をしていた童子たちでした。彼らが持ち出した「紫金紅葫蘆(しきんこうころ)」「羊脂玉浄瓶(ようしぎょくじょうへい)」「七星剣」「芭蕉扇」「幌金縄」といったチート級の宝貝はすべて太上老君の私物。最終的に老君が自ら降臨し、童子たちと宝貝を瞬時に回収して去っていく場面は、神話世界の絶対的な力関係を読者に印象付けました。