沖ノ鳥島護岸工事に巨費が投じられる理由!水没阻止とEez死守の現場

沖ノ鳥島護岸工事に巨費が投じられる理由!水没阻止とEez死守の現場

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太平洋の荒波が直接打ち寄せる外洋で、脆弱なサンゴ礁石灰岩を保全する工事は、人類の土木史においても類を見ない難工事でした。工事が本格的に始まったのは1987年。国土交通省(当時は建設省)の主導のもと、まずは満潮時にわずかに露出する東小島と北小島の周囲を強固な防壁で囲む作業が進められました。

具体的には、周囲に鋼製の遮水壁を打ち込み、その内側をコンクリートで固めた上で、外周部には無数の異形消波ブロック(テトラポッド)を敷き詰める直径50メートルの円形護岸堤を構築。しかし、これだけでは解決できない決定的な問題が残されていました。それは、台風襲来時に消波堤を乗り越えて侵入してくる巨大な波と、海水が激しく叩きつけられることによる岩肌そのものの粉砕・摩耗です。

そこで日本の技術陣が導き出した前代未聞の解決策が、「チタン製防護ネット(チタンネット)」による被覆工法でした。

鉄やステンレスでは、塩分濃度の高い海水と強い紫外線、高温多湿が重なる苛酷な環境下で数年と持たずに錆びて破断してしまいます。これに対し、航空宇宙産業や化学プラントで用いられる純チタンは、海水に対して半永久的な耐食性を発揮します。直径5ミリメートルほどの強靭なチタンワイヤーを網目状に編み上げ、自然の岩肌に直接密着させるように覆い尽くすことで、激しい水圧を受け流しながら岩石のかけらが剥離・流出するのを完全に食い止める設計が完成しました。現場技術者たちの執念が生み出した、極限の海洋土木技術です。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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