ビギナー層から頻繁に寄せられる疑問に「プレートだけの合計重量を自分の記録にしてはいけないのか?」というものがあります。しかし、ベンチプレスの重量計算方法は「バーの重量+左右のプレート総重量+バーベルカラーの重さ」とするのが力学上かつ競技ルール上の絶対原則です。
バーの重さを含める理由は明白で、重力に逆らって身体で支え、押し上げている総質量そのものが筋肉への物理的刺激(メカニカルテンション)になるからです。仮にバーを除外して「プレート40kg(20kg×2枚)」とだけ記録した場合、20kgのオリンピックシャフトなら実質60kg、10kgのレギュラーシャフトなら実質50kgとなり、実に10kgもの誤差が生じます。この差を放置すると、トレーニングの基本原理である「漸進性過負荷(プログレッシブ・オーバーロード)」の管理が破綻してしまいます。
さらに見落とされがちなのがバーベルカラーの重さです。プレートの脱落を防ぐ留め具ですが、その種類によって重量は大きく異なります。
- スプリングカラー/プラスチックジョー:左右合計で約0.2kg〜0.4kg程度。日常のトレーニングでは誤差として切り捨てられるケースが一般的。
- 競技用スクリュー式メタルカラー(IVANKOやELEIKO製):1個あたり2.5kg、左右セットで5.0kgの質量を誇る。
公式パワーリフティング大会ではこの2.5kgカラーの装着が義務付けられており、例えば「シャフト20kg+カラー5kg+プレート75kg=合計100kg」という内訳で成立します。記録更新を目指すアスリートにとって、カラーの数値を侮ることは許されません。