ネット上の相談掲示板やSNS、当事者の手記を定点観測すると、仕事や人生の虚しさを吐露する人々の多くが、皮肉にも「挫折した人」ではなく「周囲の期待に応え続けてきた優等生」であることが浮き彫りになります。
都内のIT企業でマネージャー職を務める40代男性は、自著やキャリアインタビューの中でこう告白しています。「年収1,000万円を超え、念願のタワーマンションを購入した翌朝、洗面所の鏡に映る自分を見て『だから何なんだ?』という強烈な虚無に襲われた。手に入れた瞬間にトロフィーの輝きが失われ、次の目標を設定しなければ息ができない強迫観念に怯えていた」と語ります。また、子育てが一段落した40代女性からも「家族のために20年間走り続けたが、子どもが自立した途端、自分の存在意義がすべて消滅したように感じて毎晩涙が止まらない」という声が寄せられています。
これらの告白に共通しているのは、「他者にとって都合の良い存在」であり続けることに全エネルギーを注ぎ込み、肝心の自分自身の感情を麻痺させてきたという点です。周囲から称賛されればされるほど、内面にある「本当の自分」との乖離が広がり、結果として耐え難い孤独と心の穴が深まっていくのです。