果物が単なる甘味ではなく「天然の機能性食品」と呼ばれる最大の根拠は、微量栄養素とファイトケミカル(植物性化学物質)の複合作用にあります。厚生労働省および農林水産省が策定した「食事バランスガイド」でも、1日あたり200g(可食部)の果物摂取が推奨されていますが、これには明確な生化学的裏付けが存在します。
第1に、果物に含まれる豊富な水溶性・不溶性食物繊維が腸内細菌叢のエサとなり、短鎖脂肪酸の産生を促進します。これにより腸壁のバリア機能が強化され、全身の慢性炎症を抑制します。第2に、カリウムによるナトリウム排泄作用が血圧を安定させ、脳卒中や心筋梗塞のリスクを有意に低下させることが世界中の大規模コホート研究で報告されています。
さらに見逃せないのが、ビタミンCやポリフェノールが持つ強力な抗酸化作用です。紫外線やストレスによって体内で生じる活性酸素を除去し、血管内皮の老化を防ぐ働きが確認されています。加工食品から単一のビタミン剤を摂取するよりも、果物という丸ごとのパッケージ(ホールフード)で摂取するほうが相乗効果を得られる点が、果物が体にいい決定的な理由です。適量を継続して食べる習慣は、全死亡リスクを約10〜15%低減させるという疫学データも定着しています。