体脂肪1キロを消費するために必要なエネルギー量は、水分などを除くと約7,200kcalと算出されます。つまり、純粋な脂肪だけで5キロ減量する場合、30日間で差し引き約36,000kcalのアンダーカロリー(消費カロリー>摂取カロリー)を作らなければなりません。
これを1日単位に換算すると、1日あたり約1,200kcalのマイナスを休むことなく30日間継続する計算になります。成人女性の一般的な基礎代謝量が1,100〜1,300kcal、成人男性で1,500〜1,700kcal程度であることを踏まえると、食事制限だけでこの数値を叩き出すのは、ほぼ絶食に近い極限状態を意味します。
現場のトレーナーが推奨する現実的なアプローチは、「食事コントロールでマイナス700kcal」「運動でマイナス500kcal」を組み合わせ、1日1,200kcalの赤字を捻出するハイブリッド戦略です。しかし、医学的に安全とされる減量ペースは「1ヶ月に体重の3〜5%(体重60kgの人なら1.8〜3.0kg程度)」とされており、5キロ減はその安全基準の2.5倍から5倍のハイペースに相当します。
短期間ダイエットの真相を語る上で欠かせないのが、「減った質量の内訳」です。開始1〜2週間に起きる急激な体重減少の主成分は、脂肪ではなく「体内の水分」と「筋グリコーゲン」の枯渇です。炭水化物1gは体内で約3gの水分と結合して蓄えられているため、食事量を落とすだけで体内の水分が2〜3kg一気に抜けます。この生理反応を正しく理解していなければ、脂肪が落ちたと錯覚し、後半の停滞期で挫折することになります。