クリニックが発信する婦人科形成の症例写真(ビフォーアフター)をチェックする際、多くの読者が「切除されて小さくなった形」ばかりに視線を奪われがちです。しかし、形成外科の臨床現場において、写真の良し悪しを判断する基準は全く別のところにあります。まず確認すべきは「術後何日・何ヶ月の写真であるか」という撮影時期の明記です。
術直後の写真は、局所麻酔液に含まれるエピネフリン(血管収縮薬)の影響で皮膚が白く引き締まり、一時的に極めて美しく見える現象が起こります。しかし、麻酔液が代謝された術後2日〜3日目から強い組織浮腫(むくみ・腫れ)が生じ、組織が安定するまでには最低でも3ヶ月から半年を要します。術直後のみを掲載し、術後3ヶ月〜半年経過時の写真を載せていないクリニックは、長期的な組織のひきつれや左右差の変化を追跡できていない可能性があるため注意が必要です。
さらに注視すべきは、撮影のアングルと照明条件の均一性です。術前は患部を広げて大きく見せ、術後は脚を閉じるように角度を変えて小さく見せるような視覚的トリックが用いられていないか厳しく観察しなければなりません。特に小陰唇の左右差に関しては、元々の骨盤の傾きや大陰唇の厚みによる左右の落差を、執刀医がどのように計算して切除線を設定したかが写真から読み取れます。陰核(クリトリス)の包皮や副皮とのつながりが不自然に段差になっていないか、切除ラインがギザギザ波打っていないかという細部こそが、医師の技量を映し出す鑑識眼のポイントです。