現在、大手メディアで「先島諸島」の名称が急増している背景には、急速に変化する国際情勢があります。防衛省が進めてきた南西シフトにより、先島諸島自衛隊配備理由は明確な安全保障上の必然性として語られています。冷戦期の北方重視から、中国海洋進出への抑止力を睨んだ南西地域重視への転換です。
具体的には、2016年の与那国島への沿岸監視隊配備を皮切りに、2019年に宮古島駐屯地、2023年に石垣駐屯地が開設され、地対艦・地対空誘導ミサイル部隊や電子戦部隊が相次いで実戦配備されました。先島諸島与那国島石垣島を結ぶラインは、日本の防衛における最前線拠点となっています。
現地を取材すると、防衛強化を支持する声がある一方、複雑な地域社会の葛藤が浮き彫りになります。石垣市街の商店主は「万が一の事態を考えれば抑止力は必要だが、基地ができることで攻撃の標的にされるのではないかという恐怖感は拭えない」と吐露します。かつての沖縄戦の惨禍を知る高齢世代と、人口減対策や自衛隊員家族の転入による地域活性化を歓迎する現役世代との間で、世論は二分され続けています。
さらに切迫感を増しているのが、先島諸島避難計画ニュースで報じられる住民避難の実行可能性です。内閣官房や沖縄県が策定を進める計画では、台湾有事などの武力攻撃予測事態において、先島5市町村(石垣市、宮古島市、竹富町、与那国町、多良間村)の住民および滞在観光客を合わせた約12万人を、民間航空機や船舶を用いて九州各県へ避難させる枠組みが進められています。
しかし現場の物流・交通インフラには厳しい制約がつきまといます。悪天候時の船舶欠航率の高さ、輸送能力の限界、そして高齢者や要介護者の搬送手段など、クリアすべきハードルは山積しています。2024年から2026年にかけて国が指定を進める「特定利用空港・港湾」の整備やシェルター建設計画の行方は、住民の生命に直結する切実な問題です。