食生活に気を配っているにもかかわらず、健康診断で警告を受ける人々が直面するもう一つの真実が「体質的・ホルモン的要因」です。日本動脈硬化性疾患予防ガイドラインにおけるLDLコレステロール基準値は、一般的に以下のように区分されています。
- 適正域:120mg/dL未満
- 境界域高LDLコレステロール血症:120〜139mg/dL
- 高LDLコレステロール血症:140mg/dL以上
食事内容に大きな問題がないにもかかわらず数値が180mg/dLを超えるような突出した高値を示す場合、遺伝的に受容体が機能しにくい「家族性高コレステロール血症」の可能性を考慮しなければなりません。また、女性の場合は閉経前後に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に分泌低下することが根本原因となるケースが多発します。エストロゲンには肝臓のLDL受容体を活性化させる働きがあるため、閉経を迎えると食事が同じであっても数値が30〜50mg/dLほど自然上昇してしまうのです。
ネット上に蔓延する「卵は1日に1個までしか食べてはいけない」という言説も、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」においてコレステロールの摂取上限が撤廃された現在では、完全な時代遅れの誤解です。健康な人であれば食事由来のコレステロールに応じて肝臓が合成量を自動調整するため、神経質に卵を排除するよりも、飽和脂肪酸(脂身やバター)を減らすことのほうが血中LDL低下に対する寄与度は遥かに大きいことが分かっています。