自宅で取り組める初期ケアとして代表的なのが「ホットソーク」と「市販抗生物質軟膏」です。しかし、誤った認識のまま実践し、かえって症状を悪化させるトラブルが頻発しています。
まず、ピアス肉芽に対するホットソークのやり方には厳格なルールが存在します。体液と同じ浸透圧を再現するため、お湯(38〜40℃のぬるま湯)200mlに対して、純粋な食塩(精製塩ではなく天然塩推奨)をジャスト1.8g(小さじ1/3弱)溶かし、正確に0.9%の生理食塩水を作らなければなりません。塩分濃度が高すぎると浸透圧によって正常な細胞から水分を奪い、組織を痛めつけます。ホットソークは、患部の血流を促進して老廃物や停滞した浸出液の排出を助ける物理的洗浄法であり、すでに血管が増殖して完成してしまった肉芽そのものを消し去る魔法の療法ではないことを認識すべきです。
次に、ドラッグストアで手に入る市販軟膏の効能についてです。ネット上で「肉芽の特効薬」のように語られるドルマイシン軟膏の効果は、コリスチン硫酸塩とバシトラシンという2種の抗生物質による「細菌増殖の抑制」にあります。同様にテラマイシン軟膏(オキシテトラサイクリン塩酸塩+ポリミキシンB含有)も化膿性皮膚疾患用薬です。これらの軟膏は、ピアスホールから黄色い膿が出ている、赤く熱を持ってズキズキ痛むといった「感染局面」には極めて有用です。しかし、細菌感染が落ち着いているにもかかわらず肉芽が引かない段階でこれらを塗り続けても、組織は縮小しません。むしろ基剤の油分によって毛穴を塞いだり、添加物によるアレルギー性接触皮膚炎を引き起こしたりして、肉芽を肥大化させる引き金になります。市販薬の使用は最長でも5〜7日間にとどめ、変化が見られない場合は直ちに使用を中止してください。