木へんに冬と書く「柊」の読み方は?名前に良くない噂の真相を解明

木へんに冬と書く「柊」の読み方は?名前に良くない噂の真相を解明

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日本列島においてヒイラギが担ってきた役割は、単なる観賞用植物にとどまりません。その歴史は古代信仰にまで遡り、平安中期の歌人・紀貫之の『土佐日記』にも、注連縄(しめなわ)に柊の枝と鯔(ボラ)の頭を挟んで門口に挿す風習が記録されています。

季節の変わり目である「節分」は、古来、旧暦の新年を迎えるにあたって邪気や疫病(=鬼)が最も入り込みやすい日と恐れられていました。そこで庶民や武家が編み出した防御策が、「柊鰯(ひいらぎいわし)」の掲示です。

焼いた鰯の頭が放つ強烈な煙と異臭で邪悪な鬼を誘き寄せ、門口に待ち構えるヒイラギの鋭いトゲで鬼の目を撃退する――この極めて具体的で生々しい呪術的儀礼は、家族の命を病魔や厄災から守り抜くための真剣な生活の知恵でした。

2026年現在の都市部住宅環境においては、本物の鰯の頭を飾ることが衛生面や臭気の観点から難しくなったため、神社から授与される紙製の柊護符や、折り紙・ペーパークラフトで模した飾りを玄関先に設ける家庭が増えています。形態は現代的に変化しつつも、「邪悪なものを寄せ付けず、無病息災を願う」という柊に対する日本人の根本的な信頼は揺らいでいません。

また、苗字における「柊木(ひいらぎ/ひらぎ)」のルーツを探ると、京都の松尾大社周辺や近江(滋賀県)、東北地方などに点在する旧家に見られます。神社の神木として植えられたヒイラギの生垣や、魔除けのために屋敷林として柊を巡らせた土地の情景が苗字の発祥となっており、家柄の堅実さや神仏への敬虔な信仰を物語る由緒正しい家名として受け継がれています。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。