ネット上のQ&A掲示板やSNSでは、育休中の健康診断に関して事実無根の思い込みが散見されます。無用な不安を解消するために、代表的な2つの誤解を正しておきましょう。
1つ目の誤解は、「従業員が健康診断を受けないと、会社の受診率が下がり、会社が労働基準監督署から是正勧告や罰則を受けるのではないか」という懸念です。これは完全な誤りです。労働安全衛生規則様式第6号に基づく「定期健康診断結果報告書」を会社が所轄労基署へ提出する際、育児休業や産前産後休業、長期病気休職中の従業員は母数(在籍労働者数)から除外して報告することが公式に認められています。受診しなかったからといって会社側の受診率が低下することはなく、これが育休中健康診断免除理由の確固たる行政根拠となっています。
2つ目の誤解は、「育休中に受診を断ると、復職時に産業医面談で引っかかったり、復職の許可が下りなくなったりする」という不安です。これも実態と異なります。企業が従業員の復職可否を判断する際に必要なのは、「休業中のデータ」ではなく「復職する直前の健康状態」です。
実務上は、育休復職前健康診断案内に基づいて復職の1〜2ヶ月前に受診するか、あるいは復職した直後のタイミングで健診を受ける運用が極めて一般的です。休業中に無理をして受けるよりも、復職直前の生活リズムが整った段階で受診する方が、企業と従業員双方にとって医学的・労務管理的に意味のある診断結果を得られます。