法律上、「和牛」と正式に呼称できるのは、農林水産省が指定する以下の特定4品種、およびその4品種間での交配による交雑種のみに限定されています。
【和牛の特定4品種一覧】
- 黒毛和種(くろげわしゅ):全国で肥育され、国内の和牛流通量の約98%を占める絶対的エース。きめ細やかな霜降り(サシ)と柔らかな肉質、融点の低い脂が特徴。
- 褐毛和種(あかげわしゅ):主に熊本県(あか牛)や高知県で生産。赤身肉の豊かな旨味と適度なサシのバランスに優れ、ヘルシー志向層から高い支持を獲得。
- 日本短角種(にほんたんかくしゅ):岩手県や青森県、北海道などの冷涼な気候で放牧を中心に飼育。脂肪分が少なく、イノシン酸などのアミノ酸を豊富に含む力強い赤身が魅力。
- 無角和種(むかくわしゅ):山口県萩市周辺でわずかに飼育されている希少種。皮下脂肪が厚く、しっかりとした歯ごたえの赤身肉が特徴。
一般的にメディアや高級料理店で目にする黒毛和牛の定義とは、このうち「黒毛和種」に限定された牛のことです。さらに、松阪牛、神戸ビーフ、近江牛といった世界に誇る名だたるトップブランド牛も、その大半は黒毛和種の血統から厳選されています。
これらのブランド牛を評価する指標として用いられるのが、日本食肉格付協会が定める「歩留等級(A・B・C)」と「肉質等級(1〜5)」を組み合わせた規格です。巷で最高級の代名詞とされる「A5ランク」とは、枝肉から取れる肉の割合が標準以上のAランクであり、かつ脂肪交雑(BMS値)や肉の色沢、締まり・きめ、脂肪の質が最高レベルの5と判定されたものを意味します。徹底した血統管理と独自の飼料配合、30ヶ月前後に及ぶ長期肥育が生み出す芸術的なサシこそが、和牛が世界最高峰の評価を受ける所以です。