夜間に甘酒を飲むことを躊躇する最大の理由は、やはり体重増加への懸念です。文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)2020年版」のデータを紐解くと、米麹甘酒のエネルギーは100gあたり約76〜81kcal、炭水化物は約18g前後に達します。一般的な白米ご飯が100gあたり約156kcalであることを考慮すると、決して極端に高カロリーな飲料ではありませんが、夜間に水やお茶の感覚でガブ飲みすれば、消費されなかった糖質が中性脂肪として蓄積されるのは当然の生理現象です。
懸念すべきは総カロリーだけでなく、甘酒の血糖値急上昇(グルコーススパイク)という体内動態です。米麹甘酒に含まれる糖分の主成分は、麹菌の酵素によって米のデンプンが分解された単糖類のブドウ糖です。ブドウ糖は分子が極めて小さいため、飲用後に素早く体内に吸収され、血中グルコース濃度を急速に引き上げます。急激な血糖値の上昇に対して膵臓からインスリンが大量に分泌されると、余剰な糖が脂肪細胞へと送り込まれやすくなります。
しかし、この血糖変動の波は「飲み方」と「適切な容量」でコントロール可能です。夕食から時間を空け、適量である100ml〜150mlをゆっくりと時間をかけて摂取する場合、睡眠中に枯渇しがちな微量なエネルギーを穏やかに脳へ供給し、深夜の低血糖による覚醒(中途覚醒や悪夢、食いしばり)を防ぐセーフティネットとして機能します。つまり、寝る前に甘酒を飲んで太ってしまうケースのほとんどは、体質の問題ではなく「就寝直前にマグカップ一杯(250ml以上)を一気に飲み干している」か「砂糖が添加された甘酒を常飲している」という摂取方法のミスに起因しています。