セルフ給油で最も技術を要するのが、ガソリンをあふれさせずにしっかり満タンにする作業です。四輪車と同じ感覚でノズルのレバーを全開にして握り続けると、ほぼ確実にガソリンが給油口から勢いよく噴き出します。
なぜ原付はノズルのオートストップが効きにくいのか
給油ノズルの先端には、空気孔(負圧検知口)と呼ばれる小さな穴が開いています。ガソリンが満量になり、この穴が液面を塞ぐことで負圧の変化を感知し、機械的に給油を止めるのがオートストップの仕組みです。
しかし、原付の給油口は内径が非常に細く、タンク自体の深さも浅いため、ガソリンが注ぎ込まれた瞬間に内部で燃料の波立ちや飛沫が激しく発生します。この飛沫がオートストップを誤作動させて給油開始直後に止まってしまったり、逆に液面が急上昇した際にセンサーの検知速度が追いつかず、外へ噴き出してしまう現象が起こるのです。
バイク給油吹きこぼれ防止のための実践テクニック
安定して給油を成功させる「原付ガソリン満タンのコツ」は、レバーの握り加減と液面の目視にあります。
ノズルの先端を給油口の金属フチに軽く当て、ノズルが跳ねないように固定します。最初はレバーを半分程度引いて静かにガソリンを流し込み、タンク内部の油面が見え始めたらレバーをさらに緩めて「チョロチョロ」と極微量ずつ注ぎ足していきます。
給油口の内側を覗き込むと、筒状の金属プレート(仕切り板)が設置されています。ガソリンはこの仕切り板の下端、あるいは指定されたレベルプレートの底面に触れる程度でストップさせるのがメーカー推奨の安全基準です。「これ以上入るのではないか」と給油口ギリギリまで注ぐと、走行時の振動やエンジンの熱によるガソリンの熱膨張によってブリーザーホースから車外へガソリンが漏れ出す原因になります。
バイクガソリン入れすぎ対処法|あふれてしまったときの現場対応
細心の注意を払っていても、手元の狂いでガソリンを車体や床にあふれさせてしまうケースはあります。万が一ガソリンがこぼれた場合は、慌てずに以下の初動対応を行ってください。
第一に、絶対にその場でメインキーを回したりエンジンを再始動させたりしてはいけません。電装系の小さな火花がガソリンに引火する恐れがあります。速やかに計量器の脇に備え付けられているウエス(布)やペーパータオルを使い、車体や樹脂パーツに付着したガソリンを拭き取ります。ガソリンは塗装面や無塗装プラスチックを侵食し、シミや劣化の原因になります。
大量に路面へこぼしてしまった場合は、無理に自力で解決しようとせず、インターホンでスタンドの監視員・スタッフを呼び出してください。スタンドには専用の油吸着マットや中和剤が常備されており、専門スタッフが迅速に安全処理を行います。