「都市ガスが安く、プロパンが高い」という事実は揺るぎませんが、すべての住居選択においてプロパンガスを絶対悪として排除すべきかといえば、個々のライフスタイルや価値観によって判断は分かれます。
家計の固定費削減を最優先とし、自宅で自炊を毎日行う人、毎日浴槽にお湯を張って入浴したい人、そして二人以上のファミリー世帯は、何が何でも都市ガス物件(またはオール電化物件)を選択するべきです。プロパン物件で生じる月額5,000円〜10,000円のガス代格差は、家賃が数千円安いメリットを瞬時に吹き飛ばします。不動産ポータルサイトで家賃の表面的な安さに釣られず、「家賃+ガス代差額」を合算した実質住居費で比較検討するリテラシーが欠かせません。
一方で、プロパンガス物件を選んでも後悔しにくい人の条件も明確に存在します。
外食や中食が中心でキッチンをほとんど使わず、入浴も短時間のシャワーだけで済ませる単身者の場合、月のガス消費量は2〜3m³程度にとどまります。この使用量であれば、都市ガスとの差額は基本料金の差を含めても月1,500円〜2,500円程度に収まります。都市ガス物件より家賃相場が3,000円以上安く設定されている部屋であれば、トータルの収支でプロパン物件の方が有利に働く逆転現象が起こります。
さらに、大地震や台風などの自然災害に対する危機管理意識が高い層にとっても、プロパンガスは魅力的な選択肢です。東日本大震災や熊本地震、能登半島地震などの過去の大規模災害において、地下埋設管が寸断された都市ガスの完全復旧には1〜2ヶ月以上の歳月を要しました。一方、軒先に個別の燃料タンクを持つプロパンガスは、配管の安全点検さえ済めば数日で供給を再開できる強靭な防災インフラとしての実績を持っています。「災害時の生命維持コストとしての保険」と割り切れるのであれば、プロパンガスの存在意義を肯定的に捉える判断も成立します。