廻しは一見すると単なる1本の帯に見えますが、その規格と製造コストは一般的な衣服の常識を遥かに超えています。
関取が本場所で着用する締め込みの素材は最高級の絹100%。長さは約8メートルから10メートル、広げた状態の幅は約45センチメートルから80センチメートルに達します。これを縦に何重にも折り畳んで約15センチメートルの幅にし、厚みを持たせて腰に巻き付けます。その総重量は約4キログラムから5キログラムにも及び、水気を吸った状態ではさらに重みを増します。
この絹の締め込みの値段相場は、1本あたりおよそ100万円から150万円。織り上げるまでに数ヶ月の歳月を要し、熟練の織師が極限まで糸の密度を高めて織り上げます。力士本人が自腹で購入することは稀で、多くは後援会やタニマチと呼ばれる支援者、あるいは出身地や母校の応援組織から昇進祝いとして贈呈されます。
対照的に、稽古用やまかない力士(幕下以下)が使用する木綿まわしは、厚手の綿帆布が用いられます。重さは約3〜4キログラム、価格相場は数万円から10万円前後と、絹の締め込みに比べれば安価ですが、数百キロの巨体が激突する衝撃に何年も耐えうる極めて頑丈な仕立てとなっています。