国内の議論において「IR=カジノ」と短絡的に捉えられるケースが散見されますが、制度設計上の本質は大きく異なります。IR(Integrated Resort:統合型リゾート)とは、国際会議場や大規模展示場(MICE施設)、国内外の富裕層を惹きつけるラグジュアリーホテル、日本の伝統・文化を発信するミュージアム、エンターテインメント劇場、商業モールなどを一体的に整備した複合観光施設を指します。
特定複合観光施設区域整備法(IR整備法)の規定により、施設の中核と思われがちなカジノの床面積はIR全体の3%未満に抑えなければなりません。法制化の歴史を振り返ると、2016年末に「IR推進法(基本法)」が成立し、2018年にカジノ運営の厳格なルールを定めた「IR整備法」が可決されました。収益性の高いカジノ事業で得た民間利益を、収益性の低い大型展示場や文化発信施設、周辺インフラの維持管理に還元・再投資する仕組みこそが、法整備の根底にある設計思想です。