小田原の小高い丘に立つ「一夜城 Yoroizuka Farm」は、彼の思想を最も雄弁に物語る場所だろう。相模湾を一望する豊かな自然のなかで、地元の農家と手を携えながら果実や野菜を自ら育てる。ファーム・トゥ・テーブルを地で行くこの挑戦は、開業当初の驚きを経て、今や地域のランドマークとして確固たる地位を築いた。
朝摘みの柑橘やみずみずしいベリーが、その日のうちに繊細なデセールへと姿を変える。大地の手触りを感じる場所だからこそ生み出せるフレッシュな味わいは、都会の洗練されたパティスリーとはまた一味違う、力強い生命力に満ち溢れている。