インターネット上の住まいフォーラムでは「カウンターテーブルはスツールが高くて落ち着かないからやめるべき」という極端な意見が散見されます。しかし、これはスツールそのものの欠陥ではなく、「差尺(さじゃく)」の設計ミスに起因する誤解です。
差尺とは、テーブルの天板上面から椅子の座面(クッションが沈み込んだ位置)までの垂直距離を指します。人間工学上、大人が快適に食事やPC作業を行える理想の差尺は27cm〜30cmと厳密に定まっています。計算式は「座高÷3 − 2〜3cm」または「身長×0.55÷3」で導き出されます。
例えば、キッチンの作業台と同じ高さ(85cm)でカウンターをフラットに伸ばす場合、適切な椅子の座面高は55〜58cmです。しかし、一般に市販されている安価なバースツールは座面高が65〜70cmに設定されていることが多く、差尺が20cm以下になって窮屈さを極めたり、逆に足が宙に浮いて太もも裏が圧迫されたりします。
カウンターチェアの座面高を選ぶ際は、以下の3点を徹底的に確認してください。
第一に、座面昇降機能(ガス圧式)付きのチェアを選ぶか、カウンター天板の厚みを差し引いた「有効下部寸法」から逆算して固定脚を選ぶこと。第二に、足置き(フットレスト)が座面から適切な位置(約40cm下)に設置されていること。第三に、食事用として使うなら背もたれ付きで座面幅が40cm以上あるモデルを選定することです。細身のバースツールを食事用に充てる過ちさえ避ければ、高さがあっても長時間の団らんを十分に楽しめます。