レーザー発毛を導入するにあたり、事前に把握しておくべき医学的限界と注意点が存在します。ネット上の過剰な宣伝文句に惑わされないためにも、以下の客観的事実を押さえておく必要があります。
第一の盲点は、「完全に毛包が退縮・線維化し、毛穴が消失した部位には効果を発揮できない」という点です。レーザー光は生きた毛乳頭細胞のミトコンドリアを刺激する触媒に過ぎず、毛包自体が存在しないツルツルの頭皮に新たな毛穴を再生させることはできません。重度に進行した薄毛部位への過度な期待は禁物です。
第二に、デバイスの光源品質による決定的な格差です。市販品の中には「育毛光線」と謳いながら、低出力レーザー(医療用半導体レーザー)ではなく単なる安価な赤色LEDランプのみを搭載した粗悪品が流通しています。赤色LEDにも一定の皮膚血行促進作用は認められているものの、直進性と深部到達力においてレーザー光(コヒーレント光)とは組織透過深度が異なります。臨床試験でエビデンスが確立されているのは、指定波長を持つ正当なレーザーダイオード搭載機器であることを確認しなければなりません。
副作用のリスクについては、内服薬と比較して極めて安全とされていますが、完全なゼロではありません。照射初期に頭皮の新陳代謝が活発化することで生じる一時的な痒みや軽度の赤み、あるいはヘアサイクルのリセットに伴う「初期脱毛」が軽微に見られるケースがあります。これらは多くの場合一時的ですが、事前に知識がないと「悪化した」と誤認して使用を中断する原因になります。