ネット上には、血糖値を巡る断片的な情報や医学的根拠に乏しい俗説が氾濫しています。数値を正しく改善へ導くために、広く流布している3大誤解をファクトチェックによって是正します。
誤解1:前日の夜に糖質を完全絶食すれば、翌朝の血糖値は確実に下がる
これは最も危険な誤解です。前夜に過度な絶食を行ったり炭水化物を完全に抜いたりすると、夜間に低血糖状態が誘発されることがあります。すると生体防御反応として副腎や下垂体から昇糖ホルモンが過剰に分泌され、リバウンド現象として翌朝の血糖値が跳ね上がるソモジー効果を引き起こします。健診前夜の極端な絶食は、かえって数値を悪化させる引き金になります。
誤解2:HbA1cが5.6%と正常値なら、空腹時血糖が115mg/dLでも放置して問題ない
HbA1cは過去1〜2カ月の「平均値」を表す指標に過ぎません。空腹時血糖が高くても、食前や夜間の特定時間帯に値が低ければ、平均値としてのHbA1cは正常範囲内に収まってしまいます。空腹時血糖異常(IFG)そのものが、冠動脈疾患や脳梗塞の独立した危険因子であることが大規模疫学調査で証明されており、HbA1c単独の安心感にすがるのは極めて危険です。
誤解3:早朝の血糖値を下げるには、とにかく毎食の白米を全廃すれば良い
主食を完全に断つ極端な糖質制限を行うと、体内のグリコーゲン枯渇を補うために肝臓の糖新生経路が異常活性化します。結果として、糖質を食べていないにもかかわらず肝臓が自らブドウ糖を過剰生成し、空腹時血糖値がむしろ高止まりする逆転現象が生じます。必要なのは全廃ではなく、糖代謝異常の詳細まとめに基づいた質の高い複合炭水化物の摂取と摂取タイミングの調整です。