制度改定に伴い、現場の労働者や店舗責任者からは切実な葛藤の声が上がっています。大手飲食チェーンや食品スーパーのパート現場、各種コミュニティにおいて聞かれる実態を検証すると、制度の理念と現場のリアルの間に横たわるギャップが浮き彫りになります。
都内スーパーで働く40代パート女性の手記取材では、次のような本音が吐露されています。
「時給が上がったこと自体は嬉しいのですが、月収8.8万円の基準を少しでも超えると社保加入になると店長から言われました。月1万円以上も手取りが減ると子どもの教育費に直結するため、年末にかけて意図的にシフトを減らさざるを得ません。働きたいのにセーブしなければならないのは本末転倒だと感じます」
一方、採用現場を預かる店長や人事担当者からも悲鳴が上がっています。
「人手不足が深刻な時期に、主力パートスタッフが一斉に『就業調整』に入ってしまい、シフトが崩壊する現場が後を絶ちません。社保に入っても損をしないよう『もっと長く働きませんか』と提案しても、配偶者の会社の扶養手当(家族手当)が月1〜2万円出ている家庭では、扶養を外れることへの心理的抵抗が非常に強いのが実情です」
このように、単なる手取り額の計算だけでなく、「夫側の勤務先における家族手当の支給基準」が複雑に絡み合うことで、現場の就業調整に拍車がかかっている実態が観察されます。