陰部のできものに関して最も蔓延している誤解が、「痛みがなく、数週間で自然に消えたから問題ない」という認識です。この油断が命取りとなる代表例が梅毒です。
厚生労働省の感染症発生動向調査でも示されている通り、梅毒の報告数は近年高い水準で推移しています。梅毒の第1期症状である赤いしこり(硬性下疳)は、治療をしなくても2〜3週間で自然に消退します。しかし、これは治癒したのではなく、病原体(トレポネーマ)が血流に乗って全身へ拡散しているサインに過ぎません。
数ヶ月後に手のひらや足の裏、全身に赤茶色の発疹(バラ疹)が現れる第2期へと移行し、放置すれば将来的に脳や心臓血管に重篤な後遺症を残すことになります。「無痛のできものが消えた」時こそ、速やかな血液検査(抗体検査)が必要です。