料亭の味を再現するしじみ汁の作り方|砂抜きと冷凍の科学

料亭の味を再現するしじみ汁の作り方|砂抜きと冷凍の科学

料亭の味を再現するしじみ汁の作り方|砂抜きと冷凍の科学を徹底追究! 読者が気になる トピックの裏側を凝縮して配信します。

「貝類はお湯から煮るべきか、水から煮るべきか」という疑問は、料理初心者が最も迷いやすいポイントです。結論から言えば、しじみ汁は必ず「水から」煮出すのが正解です。

あさりや蛤のように貝殻が大きく、身の柔らかさを最優先する場合は沸騰した湯に入れる調理法も存在しますが、しじみ汁の主役はあくまで「スープに溶け出した濃厚な出汁」です。しじみの旨味の主役であるコハク酸、グルタミン酸、アラニンなどのアミノ酸は、40℃〜60℃の温度帯をゆっくり通過する過程で細胞膜が緩み、最も効率よく水分中に抽出されます。熱湯にしじみを急激に入れると、表面のタンパク質が一瞬で凝固し、殻は開くものの旨味が内部に閉じ込められてしまうのです。

ただし、「水から煮る」工程には知っておくべき重要な注意点があります。ただ放置して強火でグラグラと煮立たせてしまうと、アクが全体に回り、身がゴムのように縮んでしまいます。

現場の料理人が実践する温度管理の要訣は以下の手順です。

  • 弱中火でじっくり加熱:鍋にしじみと分量の水、少量の酒を入れ、弱中火にかけます。じわじわと温度を上げることで、白濁した濃厚なエキスが引き出されます。
  • 沸騰直前のアク取り:水温が上がり、プツプツと小さな気泡が立ち始めたら、表面に浮き出る灰汁(アク)を丁寧にお玉ですくい取ります。これが澄んだ後味を作る決め手です。
  • 殻が開いた瞬間の火加減:沸騰して貝が一斉に開き始めたら、即座に極弱火にするか一度火を止めます。殻が開いてから1分以上加熱を続けると、身の水分が抜けてパサパサになってしまいます。
中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。