出勤時の負担感や心理的ハードルを大きく左右するのが、身だしなみの規定と接客のアプローチです。
キャバクラで働く場合、ドレスの着用とプロのスタイリストによるヘアメイクが義務付けられます。店舗と提携するヘアサロンで1回あたり1,500円〜2,500円のセット代がかかり、ドレス代、ハイヒール、ポーチなどの初期投資も嵩みます。接客では「非日常的なお姫様」「疑似恋愛の対象」としての立ち振る舞いが期待され、煙草への着火、水割り作成時のマドラーの回し方、グラスの水滴を拭き取るハンカチの扱いなど、細かなテーブルマナーを徹底的に教育されます。
一方、会員制ラウンジは「私服勤務」を看板に掲げています。ただし、この私服とはパーカーやデニムで良いという意味ではありません。実際には「男性が初デートに着てきてほしい清楚かつ女性らしい服」という高度なドレスコードが敷かれています。パステルカラーの膝丈ワンピースや、ボディラインが綺麗に出るタイトなセットアップ、足元は10cm前後のハイヒールが暗黙の了解です。ヘアメイクも専属のセットサロンに行く義務はなく、自身で綺麗にブローや巻き髪を仕上げていれば出勤可能な店舗が主流です。
接客面においても、ラウンジでは水割り作りやおしぼりの受け渡しはフロアを回るボーイ(黒服)が行います。キャスト自身はお酒を作らず、お客様と一緒に乾杯して世間話を楽しむ「知人のホームパーティー」のような距離感が求められます。細かな作法に縛られない反面、マナーという逃げ場がないため、「会話そのものの面白さ」「相手を退屈させない相槌の巧みさ」という素の人間力が試されることになります。