沖縄を象徴する花として、全国的な知名度を誇るハイビスカス(沖縄方言で「アカバナー」)。沖縄県内の集落や海岸沿い、民家の生垣など至る所に自生しており、年中咲き誇る姿から「県花に違いない」と誤認されがちです。しかし、ハイビスカスは沖縄市や那覇市をはじめとする複数自治体の「市花」には指定されているものの、県全体のシンボルである「県花」ではありません。
同様に、南国情緒を演出する鮮やかなピンクの花として親しまれるブーゲンビリアも、名護市や宮古島市などで市花・町花として愛されていますが、県花とは異なります。沖縄県が唯一無二の県花として定めているのは、燃え立つような深紅の花を枝いっぱいに咲かせるデイゴです。
県花とハイビスカスの決定的な違いは、その自生形態と文化的・産業的な結びつきの深さにあります。ハイビスカスが園芸種を含めて観賞用や防風用の生垣として広まったのに対し、デイゴは琉球王国時代から防風林や屋敷林、さらには神聖な御嶽(うたき)の周囲に植えられ、島民の生活と精神文化の根幹に深く根付いてきました。