「落葉種と常緑種、結局どちらを選ぶべきか」という疑問を持つ人は少なくない。両者の違いを解き明かすには、植物分類学の歴史と地域の気候条件を照らし合わせる必要がある。18世紀に生物の命名法を確立したカール・フォン・リンネ (Carl Linnaeus) の時代から続く植物研究の知見が示す通り、同属であっても原産地の環境の違いが生態に決定的な差を生み出すからだ。
日本の山林に自生する本ヤマボウシ (Cornus kousa) は極めて耐寒性が強く、北海道や東北地方の氷点下にも耐えうる頑丈さを持つ。一方、ホンコンエンシス (Cornus hongkongensis) 由来の常緑種は比較的温暖な環境を好む。氷点下5度を下回るような厳しい寒冷地では、冬場に大部分の葉が傷んで落ちてしまうリスクがあるのだ。
だが、関東以西の温暖な地域であれば常緑種はその本領をいかんなく発揮する。落葉種が冬にすっかり枝だけになるのに対し、常緑種は年間を通じて密度の高い葉を茂らせる。さらに花つきに関しても、落葉種が端正で静謐な美しさを見せるのに対し、常緑種は樹木全体を埋め尽くすほどの圧巻の花数を誇る品種が多い。