カネボウのCM「クッキー顔」で一躍ブレイクした当時、世間は彼女を「爽やかなキャンパスギャル」として消費しようとした。しかし、本人はそのイメージに甘んじることを激しく拒絶したという。彼女が目指したのは、見た目の美しさではなく、人間のドロドロとした情念や愚かさまでも演じ切る真の役者だった。
その執念が結実したのが、1982年の映画『鬼龍院花子の生涯』だ。「なめたらいかんぜよ!」というあまりにも有名な啖呵。極道の娘としての意地と情念をぶつけ合うあの壮絶な名シーンで、彼女はアイドルの殻を完全に破り捨てた。完璧な美貌を持ちながら、それをかなぐり捨てて役に没頭する泥臭さ。そのギャップこそが、当時の映画監督たちを惹きつけ、今なお映画ファンを魅了し続ける源泉なのだ。