園芸愛好家や就農者が有機石灰を選ぶ最大の動機、それは「まいてすぐに種まきや苗の定植ができる」という圧倒的な作業効率にあります。一般的な家庭菜園の手引きでは「石灰をまいてから2週間あけて堆肥を入れ、さらに1週間あけてから植え付ける」という手順が定石とされていますが、有機石灰を使えばこの待機期間をゼロに短縮できます。
この有機石灰はまいてすぐ植えられる理由は、化学反応のスピードとガスの発生有無にあります。消石灰(水酸化カルシウム)は水に溶けると強烈なアルカリ性(pH12以上)を示し、化学肥料や未熟堆肥に含まれるアンモニア態窒素と接触すると激しい化学反応を起こして「アンモニアガス」を放出します。この有害ガスが作物の根を焼き、苗を枯死させてしまうため、ガスが抜け切るまでの待機期間が絶対に欠かせません。
対して有機石灰の炭酸カルシウムは、中性の水にはほとんど溶けず、土壌中の有機酸や根酸(作物の根から分泌される微弱な酸)に触れることで初めて少しずつ溶解します。急激なpHの急上昇が起こらず、アンモニアガスも発生しないため、土壌にすき込んだ直後にデリケートな幼苗を植えても根焼けを起こす危険がありません。堆肥や元肥と同時に施用して1日で土作りと植え付けを完結できるタイムパフォーマンスは、週末しか農作業に時間を割けない都市部のアマチュア菜園家にとって決定的な恩恵となっています。