「オックスフォード大学の偏差値はいくつですか?」という問いに対し、留学関係者や海外進学の専門家は一様に「測定不能」と答えます。ネット上の一部まとめサイトでは「偏差値75〜80」と大雑把に書かれている事例も見受けられますが、これは日本の受験生向けに無理やりイメージを当てはめた便法にすぎません。
偏差値とは、同一の母集団が同じペーパーテストを受け、平均点からのばらつき(標準偏差)を数値化した日本独自のローカル指標です。一方、イギリスの大学入試には全国一斉の共通学力試験による序列付けが存在しません。英国の大学進学希望者は、中等教育修了時に受験する全国統一試験「Aレベル(General Certificate of Education Advanced Level)」や、国際バカロレア(IB)の成績を提出し、各大学が提示する専攻別の合格最低要件(ミニマム・リクワイアメント)をクリアした上で、個別の選考プロセスへ進みます。
オックスフォード大学が求めているのは、与えられた選択肢から正解を素早く選ぶ能力ではなく、「未解決の学術的課題に対して論理的に仮説を構築できるか」という思考の深さです。そのため、一律の偏差値で合否を線引きする発想自体が成り立たない選考哲学が貫かれています。あえて日本の模試基準へ海外大学の偏差値換算を試みるならば、全受験生の上位0.1%未満、つまり東大理科三類や京大医学部に匹敵する「偏差値80以上」の基礎学力を持つ層が、さらに別の次元の知性(口頭試問や小論文)を競い合っている状態と言えます。