ウイスキー通の間で最も熱い議論が交わされるのが、通称「リーフシリーズ」と呼ばれる3本のピュアモルトです。それぞれのラベルには緑、金(茶)、赤の葉が配され、明確なキャラクター分けがなされています。
1. ダブルディスティラリーズ(DD):歴史と革新が交差するブレンド美
ダブルディスティラリーズ(Double Distilleries)は、かつて肥土家の祖父が経営していた羽生蒸溜所のモルト原酒と、自らがゼロから立ち上げた秩父蒸溜所のモルト原酒をヴァッティングした奇跡のウイスキーとして産声を上げました。
現在は原酒事情の変遷に伴い、秩父原酒と提携蒸溜所(マルス信州蒸溜所など)との原酒交換モルトを用いたボトルも登場していますが、設計思想は一貫しています。羽生由来のどっしりとしたパンチと熟成香に、秩父が放つフレッシュかつ瑞々しいシトラスやバニラが調和し、グラスの中で時間が経つほどに複雑な甘みが立ち上ります。
2. ミズナラウッドリザーブ(MWR):和の香木を思わせる唯一無二の静寂
ミズナラウッドリザーブ(Mizunara Wood Reserve)は、複数のモルト原酒をブレンドしたのち、日本固有のオークであるミズナラの木で作られた樽(バット樽)で再熟成させた意欲作です。
グラスに注いだ瞬間に立ち上るのは、寺院の静寂を想起させる白檀やお香のようなオリエンタルなアロマ。口に含むと、ドライフルーツの甘やかさからピリッとしたジンジャーのようなスパイス感へと変化し、最後に深くウッディな余韻が鼻腔を抜けます。海外のコンペティションで審査員を驚嘆させた、日本ならではのテロワールを象徴する一本です。
3. ワインウッドリザーブ(WWR):赤ワイン樽がもたらす妖艶な果実香
ワインウッドリザーブ(Wine Wood Reserve)は、赤ワインの熟成に使用されたフレンチオーク樽を用いて後熟(フィニッシュ)を施したボトルです。
オレンジがかった赤褐色の液体からは、煮詰めたプラムやドライレーズン、ダークチェリーの濃密な香りが漂います。酸味と渋みのバランスが計算し尽くされており、奥底にはビターチョコレートやシナモンのような温かみのある苦味が潜みます。食後のシガーや濃厚なデザートとともにストレートでじっくり向き合いたい逸品です。