凶器を持たない群衆が、言葉だけで人間を追い詰める。ネット誹謗中傷の脅威は、今や誰もが被害者にも加害者にもなり得る日常のリスクとなった。スマイリーキクチ氏が直面した地獄のような体験は、匿名性が悪意を増幅させる格好の温床であることを強烈に物語っている。一方、ひろゆき氏は「匿名性があるからこそ言える本音や内部告発の価値」を認める一方で、泥沼化する無責任な攻撃の非効率性を指摘してきた。
二人の議論が示すのは、ネットの匿名性がもたらす「罪悪感の希薄化」という構造的問題だ。X(旧Twitter)などのプラットフォーム上で、アルゴリズムが感情的な投稿を拡散しやすい仕組みになっていることも、怒りや中傷の暴走に拍車をかけている。画面の向こうにいる実在の人間に対する想像力が欠如したとき、匿名という影は容赦ない暴力へと変貌する。