ネット上の防災コミュニティ等で時折見かけるのが、「災害時には電気を使わない和式トイレの方が強い」「構造が単純だから断水時も安心」という言説です。しかし、この主張には現場目線での重大な盲点が含まれています。
確かに、最新の高機能洋式トイレ(タンクレストイレや全自動洗浄機能)は停電時にボタン操作で流せないケースがあり、手動レバーの操作手順を知っておく必要があります。その点、旧来のタンク式和式便所は停電の影響を受けません。
しかし、断水時において和式便器をバケツの水で流すには、洋式便器と同等かそれ以上(1回あたり6〜8リットル以上)の水量が必要です。さらに、避難所となった学校等で和式しか使えない場合、避難生活を送る高齢者や体調不良者がトイレを忌避し、水分摂取を控えた結果としてエコノミークラス症候群や脱水症状を招くリスクが過去の大震災で強く指摘されました。現代の防災基準においては、「誰でも安全に使用できる洋式トイレの確保と非常用携帯トイレの備蓄」こそが標準となっており、和式頼みの防災対策は過信禁物といえます。