ペット可物件であっても、退去時の精算トラブルで法外な請求を突きつけられるケースが近年急増しています。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常使用による損耗や経年劣化は家賃に含まれるとされています。しかし、愛猫の引っかき傷や臭いは「ペット飼育に伴う故意・過失または善管注意義務違反」と判定され、ほぼ100%借主の自己負担となるのが賃貸市場の厳格な現実です。
不動産管理会社で10年以上の退去立会いを担当してきた業界関係者は、次のように現場の実情を語ります。
「一般的な日焼けによる壁紙の張り替えであれば、借主負担は残存価値(6年で1円への減価償却)が考慮されます。ところが、賃貸における猫の爪跡による壁紙損壊は過失とみなされ、減価償却の対象外とされる判例が多々あります。猫が柱やコーナー部の下地ボードまで貫通して傷をつけていた場合、クロスだけでなく石膏ボードの交換費用や大工工事が発生し、6畳ワンルームでも退去費用が20万〜30万円超に跳ね上がる事態は珍しくありません」
新築注文住宅においても状況は同様です。引き渡しからわずか数週間で無垢材の柱や輸入調壁紙を削り取られ、深い心的外傷を負うオーナーの告白は住宅フォーラムでも後を絶ちません。一度爪跡がついて毛羽立った箇所は、猫にとって「次も研いで良い目印」として脳にインプットされるため、被害を未然に防ぐ先回りの物理対策が不可欠となります。