「刺さないなら益虫なのか、それとも害虫なのか」という点については、人間社会と自然環境の双方の視点から多面的に評価されています。
成虫に関しては、前述の通り刺傷被害や病原体の媒介を行わないため「衛生害虫」ではありません。しかし、その異様な姿形や、部屋の中を予測不能に飛び回る挙動が人間に強い精神的ストレスや嫌悪感を与えるため、法律・環境衛生上は「不快害虫」として位置づけられます。
一方で、幼虫期の生態には以下のような二面性があります。
- 自然界における益虫としての側面:ガガンボの幼虫(通称「地虫」など)は、森林の落ち葉、朽木、湿った土壌中の有機物を食べて分解し、豊かな土壌を作る土壌分解者として重要な役割を果たしています。また、鳥類や魚類、カエルなどの貴重な餌資源(生態系の土台)となっています。
- 農業分野における害虫としての側面:水田や畑、芝生などで発生する一部の種(キリウジガガンボなど)は、稲の根や野菜の幼苗、芝の根を食害することがあり、農家やゴルフ場管理においては農業害虫として防除対象になるケースがあります。
主な幼虫の発生源は、庭の落ち葉だまり、湿った腐葉土、側溝のヘドロ、田畑の湿地環境です。水たまりなどの人工的な容器で湧く一般的な蚊とは発生環境がやや異なります。