毎年5月中旬から6月にかけて、さつま町の川内川流域では幻想的な光景が繰り広げられる。暗闇のなか、数万匹のホタルが乱舞する水上をゆっくりと進む「ホタル舟」だ。この奇跡的な景観は、決して自然のまま放置された結果ではない。地域住民が数十年にわたり、合成洗剤の使用削減や河川清掃活動を愚直に続けてきた努力の賜物である。
環境保護と観光資源の両立は極めて難しいテーマだが、同町では完全予約制による人数制限と環境保全税の導入により、環境負荷を最小限に抑える仕組みを確立した。静寂のなか、ホタルの光に包まれる体験は、訪れる人々に環境意識の変革すら迫る圧倒的な感動を与えている。