ガミースマイルの治療を考える際、多くの人が比較検討するのが「ボトックス注射」と審美歯科で行われる「歯肉整形(歯冠長延長術)」です。この2つは作用機序も目的も全く異なります。両者の違いを正確に理解していないことが、ミスマッチによる後悔の大きな要因となっています。
ガミースマイルにおける歯肉整形との違いを整理すると、ボトックスが「筋肉の動きを止めて唇を上がりにくくする対症療法」であるのに対し、歯肉整形は「覆いかぶさった歯茎を電気メスやレーザーで切除し、歯の露出面積を広げる物理的な外科処置」です。場合によっては歯槽骨の一部を削る骨整形を併用し、後戻りを防ぎます。
「歯が極端に小さく見える」「歯茎が覆いかぶさって四角い歯になっている」という解剖学的特徴を持つ場合、原因は上唇鼻翼挙筋の過剰収縮ではなく歯肉の過成長にあります。このタイプにボトックスを打っても、単に歯茎が見えなくなるだけで歯の短さは改善されず、かえって口元全体のバランスが崩れて不気味な印象を与えてしまいます。逆に、歯の長さは十分にあるのに歯肉整形だけを行えば、歯が長くなりすぎて馬のような口元になるリスクがあります。
根本的な改善を望むのであれば、審美歯科医と美容外科医の双方が連携し、患者のガミースマイルが「唇の上がりすぎ」なのか「歯茎の被りすぎ」なのか、あるいは「上顎骨そのものが前下方へ突出している骨格性」なのかを正確に鑑別することが不可欠です。