結論から述べると、医学的に「このような生活や性格の人が確実にALSを発症しやすい」と特定された単一の要因は存在しません。ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、脳や脊髄にある運動神経細胞(運動ニューロン)が選択的に障害を受ける病気ですが、その発症メカニズムは極めて複雑です。
厚生労働省の指定難病データや国内外の疫学調査によると、日本国内の患者数は約1万人前後で推移しており、人口10万人あたり数人程度が発症する希少疾患に分類されます。その発症形態は大きく2つに分かれます。
発症者のうち約90〜95%は血縁者に患者がいない「孤発性ALS」であり、残る約5〜10%が特定の遺伝子変異に起因する「家族性ALS」です。つまり、大多数のケースでは「家系に患者がいるから発症する」というわけではありません。孤発性ALSの発症リスクについては、加齢による細胞ストレスの蓄積、グルタミン酸による神経毒性、酸化ストレス、TDP-43をはじめとする異常タンパク質の凝集など、複数の体内環境因子が重なり合って引き起こされると考えられています。