誰もが羨む名門、開成中学校・高等学校。その誇らしい制服に身を包んだ息子の成長は、かつて家族にとって最大の希望だった。しかし、その希望はいつしか足元から崩れ去る。成績の伸び悩みとプレッシャーの増大に伴い、息子の態度は豹変。暴力は日を追うごとにエスカレートし、家庭内は文字通り戦場と化した。包丁を突きつけ、壁を壊し、親を罵倒する日々。日本最高峰のエリート校という看板が、皮肉にも周囲へSOSを出すことを躊躇させ、事態を悪化させていく。
「なぜ惨劇は防げなかったのか」。多くの人が抱くこの疑問の根底には、世間の目を恐れた家族の閉鎖性があった。警察や専門機関に助けを求めることは、息子の将来を奪うことを意味するのではないか——そうした親心と世体裁の狭間で葛藤するうちに、逃げ場のない惨劇へのカウントダウンが進んでいったのだ。