彼を語る上で避けて通れないのが、無数の有志によって作られた二次創作と、ネット文化における熱狂的な消費のシステムである。いつしか彼はネット上で「代理中尉」や階級付きの軍人に見立てられるようになり、様々なMAD動画やフィクションの文脈へ組み込まれていった。
この現象の根底にあるのは、強烈なネットミームとしての拡散力である。本人の意図をはるかに離れ、切り抜き動画やイラスト、アスキーアートとして一人歩きした像は、やがてパロディコンテンツの巨大な素材庫と化した。文脈を切り取られ、新たな記号を与えられた時、実在の人物は虚構のキャラクターへと上書きされる。ネット民が作り上げた「中尉」という幻想は、彼本人の肉体を置き去りにしたまま、サイバースペース上で永遠に自己増殖を続けているのだ。