観光情報誌やインフルエンサーの投稿では、写真映えや即時的なインパクトが強い「宇和島風」が大きく取り上げられる傾向があります。しかし、松山在住の生粋の地元民にヒアリングを行うと、「本当に落ち着いて食べたいのは松山風の炊き込み」という声が根強く返ってきます。松山鯛めし地元民おすすめ理由の深層を探ると、家庭料理としての記憶と出汁文化への誇りが見えてきます。
地元松山において、鯛めしとは古くから祭りや慶事、親戚が集まる特別な席でお母さんや祖母が大きな鍋で鯛を丸ごと炊き上げてくれた「ハレの日の象徴」でした。鯛のアラから抽出されるゼラチン質と旨味がご飯の一粒一粒をコーティングし、冷めてもなお旨いという特性を持ちます。松山のベテラン料理人はこう語ります。『宇和島風は鮮烈なタレと刺身の勢いで食べるものだが、松山風は噛みしめるほどに米と鯛の対話が広がる。年を重ねるほど、出汁の奥深さに戻ってくるのです』。地元民にとって、炊き込みの松山風は郷土のアイデンティティそのものなのです。
一方で、大手旅行ポータルサイトやSNS、5ちゃんねる等における松山鯛めしネットの反応を多角的に分析すると、観光客のリアルな本音が浮かび上がってきます。
「宇和島鯛めしを初めて食べた時の衝撃が忘れられない。究極のTKG(卵かけご飯)であり、甘辛いタレと鯛の歯応えでご飯が何杯でもいける」(20代・男性観光客)
「松山風の土鍋鯛めしは、待つ時間も含めてごちそう。運ばれてきた瞬間の香りと、出汁茶漬けにした時の優しさが胃袋に染み渡った。絶対に松山風派」(40代・女性旅行者)
「両方食べたが、全く別の料理なので比べること自体がナンセンス。昼は宇和島風でサッとエネルギーチャージし、夜は郷土料理屋で松山風をつまみながら地酒を飲むのが完全な勝ちパターン」(30代・出張ビジネスマン)
ネット上の口コミ調査全体を見渡すと、初来訪時の直感的な感動値では宇和島風が7割近い言及を獲得するものの、リピーターや滞在日数が長い旅行者ほど「松山風の奥深さ」を再評価する傾向が顕著に現れています。