精神医療のリアルな姿を世に知らしめた金字塔といえば、想田和弘監督による社会派ドキュメンタリー、映画『精神』だろう。観察映画という手法を通じて、カメラは精神科クリニックに通う人々や医療従事者の日常を一切のナレーションなしで淡々と捉え、視聴者に「正常と異常の境界」を鋭く問いかけた。
近年では、NHKオンデマンドやNetflixといった動画配信プラットフォームを通じて、精神医療の実態や隔離拘束の問題を掘り下げたドキュメンタリー番組や映像作品が世界中に配信され、若年層を含む幅広い世代で関心が高まっている。エンターテインメントの枠を超え、映像メディアが果たすべき社会的役割は増大しており、密室化しがちな精神科病棟の現状を可視化する強力な媒体となっている。