長年親しまれてきた「犬の1年は人間の7年分」という換算則は、成長速度や寿命が体格によって大きく乖離する現実を反映しきれていません。米国獣医臨床病理学会(ABVP)の専門医であるフレッド・L・メッツガー博士らが提唱した発育モデルや、近年の臨床研究では、犬の成長段階を小型・中型・大型に厳密に区分して評価する方式がスタンダードとなっています。
一般的に、小型犬の12歳は人間換算で約64歳と定年前後の壮年期に相当しますが、大型犬における12歳は約88歳という天寿の領域に足を踏み入れています。大型犬の加齢計算において広く用いられる「19 +(犬の年齢 − 2)× 7」という計算式や、各犬種の平均寿命と日本人の平均余命を掛け合わせたモデルを適用すると、大型犬の細胞老化スピードが小型犬の1.5倍以上で進行している事実が浮き彫りになります。
「12歳の愛犬の平均余命と寿命の真相」を直視した際、小型犬にとってはまだ生活改善で寿命を延ばせる時期である一方、大型犬にとっては終末期医療の視野に入ってくるという残酷な体格間格差が存在します。数字に過度にとらわれる必要はありませんが、愛犬が背負っている肉体的な疲弊度を測る物差しとして正確な認識を持っておく必要があります。