呼吸が苦しくて横になれない緊急時に、最も手軽で絶大な効果を発揮するのが「寝姿勢の物理的コントロール」です。多くの人が「枕を高くする」という対処法を試みますが、頭部だけを高くして首が不自然に折れ曲がると、かえって気道を圧迫して息苦しさを増大させてしまいます。
正しいアプローチは、背中から肩、頭部にかけて緩やかなスロープを作る「セミファウラー位(上半身挙上)」です。敷布団やマットレスの下に折りたたんだバスタオルやクッションを差し込み、上半身全体を約15〜30度の傾斜で支えます。この傾斜によって頭部への血液停滞が緩和され、鼻粘膜の血管拡張が抑えられるだけでなく、後鼻漏が気管へ垂れ込むリスクを大幅に低減できます。
あわせて実践したいのが「側臥位(横向き寝)」です。特に左右どちらか一方の鼻が詰まっている場合、「詰まっている側を上」にして横向きに寝るのが鉄則です。上側に位置する鼻腔は重力によって血液や組織液が下がり、鼻腔内の腫れが引いて空気の通り道が確保されやすくなります。抱き枕や丸めた毛布を抱え込み、胸部を圧迫しない姿勢を維持すると、呼吸筋への負担を最小限に抑えられます。
さらに即効性を高める手段として、東洋医学に基づくツボ押しが有効です。小鼻の膨らみのすぐ脇にある「迎香(げいこう)」は、鼻粘膜の血流を瞬時に改善する代表的なツボです。人差し指の腹を当て、斜め上(目頭の方向)に向かって心地よい痛気味の強さで3〜5秒間押し、ゆっくり離す動作を5〜10回繰り返します。喉の違和感や咳込みには、左右の鎖骨の間にある窪み「天突(てんとつ)」を、喉の奥ではなく胸骨の裏側に向かって優しく押し下げるように刺激すると、過敏になった気管の興奮が鎮静化します。