では、家庭で日本酒を真に美味しく味わうにはどうすればよいのか。酒のプロフェッショナルである唎酒師(ききざけし)にその極意を聞いた。
第一のポイントは「温度の上がり際を楽しむ」ことだ。冷蔵庫から取り出したばかりの「冷酒(約5℃)」をグラスに注ぎ、時間をかけてちびちびと味わう。手元でグラスが少しずつ温まるにつれ、立ち上る香りは豊かになり、かどが取れて丸みのある味わいへと変化していく。一杯のなかで冷酒から常温の「ひや」へと移り変わるグラデーションを楽しむことこそ、自宅飲みにおける最高の贅沢だ。
また、酒器選びも重要である。冷酒には薄口のガラスグラスがすっきりとしたキレを強調し、常温の「ひや」には厚みのある陶器や平杯が米の旨味をやわらかく受け止めてくれる。