4つ穴ボタンを取り付ける際、多くの人が最初に迷うのが「糸をクロス(X字)に交差させるか」「平行(二の字・=)に渡すか」という疑問です。アパレル業界の縫製基準や服飾史の観点から見ると、どちらか一方だけが正解というわけではなく、衣服の厚みや着用シーンによって明確な使い分けが存在します。
一般的に、厚手の生地で耐久性が求められるスーツやジャケット、コートにはクロス掛け(X掛け)が採用されます。対角線上に糸を渡すことで張力が四方に均等に分散され、引っ張りに対して強い構造になるためです。一方、ワイシャツやブラウスなどの薄手・中薄手のドレスシャツでは平行掛け(二の字掛け)が主流です。平行掛けは表面がすっきりとしてドレッシーな印象を与えるほか、ボタンホールへの通しやすさを優先した設計になっています。
また、イタリアのクラシコ・サルトリアなどで見られる「鳥足掛け(鳥の足のように1箇所から3方向に糸が伸びる留め方)」といった装飾的な縫い方もあり、これらはボタンの開閉を滑らかにする機能性と美観を両立させた伝統技法です。迷った際は「他のボタンの留め方に合わせる」または「ジャケット=クロス、シャツ=平行」を基準に選ぶのが確実です。