この社を語るうえで欠かせないのが「波除八幡(なみよけはちまん)」という異名だ。応長元年(1311年)、鎌倉や金沢の沿岸を巨大な高潮と大津波が襲った。家々が飲み込まれる中、富岡八幡宮の山裏にあった巨岩が波を真っ二つに裂き、社殿と山背の集落を守り抜いたと伝えられる。以来、荒ぶる自然をも鎮める厄除け・災難除けの霊場として、武士から庶民に至るまで絶大な信仰を集めるようになった。
人生における「逆風」や「予期せぬ荒波」を乗り越えたいと願う人々が、厄除祈願に列をなす。参拝の際は、まず手水舎で両手と口を清め、心を静めることから始めたい。拝殿の前では、背筋を伸ばして「二礼二拍手一礼」。形だけの礼拝ではなく、自分が抱える不安や迷いを素直に神前に差し出し、波を鎮める神気を受け取るような心構えが、この地ではよく似合う。