フェスタ最大のハイライトといえば、朝日に照らされながら数十機以上の熱気球が一斉に大空へと飛び立つ「一斉離陸」です。静寂に包まれた河川敷にガスバーナーの轟音「ゴォーッ」という音が響き渡り、巨大な球皮が次々と立ち上がっていく光景はまさに息を呑む美しさです。
この一斉離陸のベストな時間帯は、午前7時00分の競技フライト開始直後です。パイロットたちは午前6時頃から行われる競技ブリーフィング(気象解説とタスク発表)を受け、フライトが決定するとローンチサイトで一斉に機体の立ち上げ準備を開始します。午前6時45分頃から球皮に熱風が送り込まれ、7時00分を回ると次々に浮上していきます。したがって、観客がベストポジションを確保すべき時刻は遅くとも午前6時00分〜6時30分です。7時に駅へ到着していては、すでに空高く舞い上がったバルーンを遠巻きに眺めることになってしまいます。
ここで知っておくべき決定的な要素が、競技フライト中止の判断基準と風速です。熱気球は自前の推進プロペラを持たず、風に乗って移動するため、強風には極めて脆弱です。一般的に地上風速がおおむね3m/s〜4m/s(ノット換算で約6〜8kt)を超えると離陸が危険視され、競技フライトは即座にキャンセル(中止)または会場外から嘉瀬川河川敷のターゲットを目指して飛んでくる「フライイン」へと変更されます。
「雲一つない快晴の青空なのに、なぜ中止なのか」と落胆する初来場者の声をSNS等で見かけますが、熱気球にとって重要なのは晴雨よりも「風の穏やかさ」です。夜間に冷やされた地面付近の大気が安定している早朝こそが最も風が弱く、一斉離陸の確率が高い理由もここにあります。現地を訪れる際は、一般的な天気予報だけでなく、気象庁のアメダスデータや風速専門の気象予測アプリ(Windyなど)で上空および地上付近の風速トレンドを事前に確認しておくことがプロの鉄則です。