SNSやネット掲示板では「裏社会の人間は犯罪で優雅に暮らしている」といった言説が散見されますが、これは現場の実態から著しく乖離した誤解です。現実の裏社会に横たわっているのは、想像を絶するヤクザの年収格差です。
毎月数十万円から百万円単位の上納金を組織本部に納める義務があるため、資金力のない末端組員は上納金の工面に追われ、日雇い労働や親族からの借金で命をつなぐ事例が日常茶飯事となっています。実際に警察当局が押収した組の会計簿や関係者の手記によれば、構成員の半数以上は年収換算で100万〜200万円以下、あるいは借金を抱えた赤字状態であり、富を独占できるのはごく一部の幹部に限られています。
生活が成り立たずに組織を離脱しようとしても、立ちはだかるのが暴力団離脱者の現状です。警察や暴追センターの支援によって脱退届を出しても、いわゆる「元暴5年条項(離脱後5年間は暴力団関係者と同等に扱う規定)」が壁となり、銀行口座の開設やアパートの契約、クレジットカードの発行が拒否され続けます。正規雇用に就くことが極めて難しく、生活困窮の果てに再び裏社会の犯罪ネットワークや闇バイトの調達役に逆戻りしてしまう再犯の連鎖が、深刻な社会問題となっています。